参考文献

<複式簿記/三式簿記研究チーム>

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「財務会計・制度全般」

(会計基準解説)

  1. 河崎照行他, 2008『財務会計論Ⅰ』(基本論点編)(第2版)中央経済社
  2. 河崎照行他, 2008『財務会計論Ⅱ』(応用論点編)(第2版)中央経済社
  3. 伊藤邦雄責任編集, 田中建二・弥永真生・米山正樹, 2004『時価会計と減損』中央経済社
  4. 財務会計基準機構監・企業会計基準委員会編, 2009『企業会計基準完全詳解』税務経理協会
  5. 伊藤邦雄責任編集, 伊藤邦雄・中條祐介, 2004『連結会計とグループ経営』中央経済社
  6. 阿部光成他, 2009『2008-2010新会計基準の実務』中央経済社
  7. 田中弘・戸田龍介・小西範幸・照屋行雄・真鍋明裕, 2008『わしづかみシリーズ 新会計基準を学ぶ』税務経理協会
  8. 田中弘・照屋行雄・田代樹彦・朴恩芝, 2008『わしづかみシリーズ 新会計基準を学ぶ』税務経理協会
  9. 田中弘・戸田龍介・小西範幸・宮川昭義, 2011『わしづかみシリーズ 新会計基準を学ぶ』税務経理協会

(財務会計全般)

  1. 武田隆二, 2009『財務諸表論』(第11版)中央経済社
  2. 田中 弘, 2007『新財務諸表論』(第3版)税務経理協会
  3. 広瀬義州, 2011『財務会計』(第10版)中央経済社
  4. 醍醐 聰, 2008『会計学講義』(第4版)東京大学出版会
  5. 伊藤邦雄, 2008『ゼミナール現代会計入門』(第7版)日本経済新聞出版社

(会計理論、及び会計制度)

  1. 染谷恭次郎博士還暦記念会編, 1983『財務会計の基礎と展開』中央経済社
  2. 上野清貴, 1998『会計の論理構造』税務経理協会
  3. 上野清貴, 2006『会計利益計算の構造と論理』創成社
  4. 飯野利夫・矢澤富太郎監修, 1996『現代会計理論と会計実践』税務経理協会
  5. 青柳文司, 1982『会計理論の基礎知識』中央経済社
  6. 斎藤静樹, 1994『企業会計における資産評価基準』第一法規出版
  7. 斎藤静樹, 2009『会計基準の研究』中央経済社
  8. 黒沢清総編・山桝忠恕責任編集, 1980『体系近代会計学Ⅰ』(会計学基礎理論)中央経済社
  9. 黒沢清総編, 中島省吾責任編集, 1980『体系近代会計学Ⅹ』(国際会計基準)中央経済社
  10. 安藤英義・新田忠誓編, 1993『会計学研究』中央経済社
  11. 現代会計研究会編, 2002『現代会計研究』白桃書房
  12. 阪本安一, 1982『現代会計の基礎理論』中央経済社
  13. 藤井秀樹, 2007『制度変化の会計学』中央経済社
  14. 藤田幸男編, 1994『国際化時代と会計』中央経済社
  15. 山桝忠恕, 1984『会計学原理の研究』中央経済社

「国際会計・連結会計全般」

(国際会計基準・米会計基準)

  1. デロイトトゥシュトーマツ編, 2008『米国会計基準の実務』(第4版)中央経済社
  2. デロイトトゥシュトーマツ編, 2008『国際財務報告基準の実務』(第3版)中央経済社
  3. 新日本有限責任監査法人編, 2009『完全比較国際会計基準と日本基準』Lexis Nexis
  4. 古賀智敏・鈴木一水・國部克彦・あずさ監査法人編, 2009『国際会計基準と日本の会計実務』同文舘
  5. 佐藤信彦編, 2008『国際会計基準制度化論』白桃書房
  6. 中央青山監査法人編, 2006『アメリカの会計原則2006年版』中央経済社
  7. 平松一夫編, 2007『国際財務報告論』中央経済社 愛知学院大学大学院経営学研究科

(連結会計)

  1. 川本 淳, 2002『連結会計基準論』森山書店
  2. 大雄令純, 1977『精説連結会計論』同文舘
  3. 兼子春三, 1969『連結財務諸表制度論』国元書房
  4. 関西学院大学会計学研究室編, 1993『連結会計基準の国際比較』中央経済社
  5. 稲垣冨士男, 1967『連結財務諸表論』中央経済社
  6. 今田 正, 1988『企業連結会計』森山書店
  7. 醍醐 聰, 1995『連結会計』同文舘
  8. 高須教夫, 1996『連結会計論』森山書店
  9. 企業財務制度研究会・企業結合会計研究委員会, 1999『企業結合会計をめぐる論点(Ⅰ・Ⅱ)』企小栗崇資, 2002『アメリカ連結会計生成史論』日本経済評論社
  10. 業財務制度研究会
  11. 黒川行治, 1998『連結会計』新世社
  12. 黒川行治, 1999『合併会計選択論』中央経済社
  13. 山地範明, 2000『連結会計の生成と発展』(増補改訂版)中央経済社
  14. 斎藤静樹編, 2004『逐条解説 企業結合会計基準』中央経済社
  15. 武田隆二, 1977『連結財務諸表』国元書房
  16. 企業財務制度研究会・米国財務会計基準(合併・分割)研究委員会, 1999『合併会計をめぐる米国財務会計基準の動向』企業財務制度研究会
  17. 中央青山監査法人研究センター, 2004『企業結合会計基準ガイドブック』中央経済社

(金融商品、及び時価価値会計)

  1. 浦崎直浩, 2002『公正価値会計』森山書店
  2. 吉田康英, 2001『金融商品の会計基準』税務経理協会
  3. 吉田康英, 2003年『金融商品会計論』, 税務経理協会
  4. 田中建二, 1999『時価会計入門』中央経済社
  5. 田中建二, 2007『金融商品会計』新世社
  6. 伊藤 眞・荻原正佳, 2008『金融商品会計の完全解説』 財経詳報社
  7. 上野清貴, 2005『公正価値会計と評価・測定』中央経済社
  8. 上野清貴, 2006『公正価値会計の構想』中央経済社
  9. 大塚宗春, 1999『逐条解説 金融商品会計基準』中央経済社
  10. 加古宜士, 1983『物価変動会計論』中央経済社
  11. 企業財務制度研究会・米国財務会計基準(金融商品)研究委員会, 1995『金融商品をめぐる米国財務会計基準の動向(上巻・下巻)』企業財務制度研究会
  12. 企業財務制度研究会訳, 1999『現在価値』中央経済社
  13. 古賀智敏, 2003『ファイナンス型会計の探究』中央経済社
  14. 醍醐 聰・田中建二, 2003年, 『金融リスクの会計』, 東京経済情報出版
  15. 石川純治, 2002年『時価会計の基本問題』中央経済社
  16. 高橋良造, 2004『時価評価会計論』中央経済社
  17. 不破貞春, 1979『時価評価論』同文舘
  18. 田中 弘, 2002『時価主義を考える』中央経済社
  19. 田中 弘, 2003『時価会計不況』新潮社
  20. 高橋良造, 1998『時価主義会計学説』中央経済社
  21. 森田哲彌, 1978『価格変動会計』国元書房 愛知学院大学大学院経営学研究科 
  • (国際会計)
  1. 菊谷正人編, 2010『IFRS/IAS 徹底解説』税務経理協会
  2. 杉本徳栄監修・仰星監査法人編, 2010『ケーススタディでみるIFRS』金融財政事情研究会
  3. 橋本 尚・山田善隆, 2010『IFRS会計学(基本テキスト)』(第2版)中央経済社
  4. 橋本 尚・山田善隆, 2010『IFRS会計学(実践テキスト)』中央経済社
  5. 杉本徳栄, 2009『国際会計』同文舘出版

「資産・負債管理全般」

 (棚卸資産会計)

  1. 渡辺 進, 1970『棚卸資産会計』同文舘
  2. 平敷慶武, 2003『棚卸資産会計研究』税務経理協会
  3. 番場嘉一郎, 1963『棚卸資産会計』国元書房
  4. 番場嘉一郎, 1972『棚卸資産経理の知識』日本経済新聞社

(無形資産・のれん、及び減損会計)

  1. 清水泰洋, 2003『アメリカの暖簾会計』中央経済社
  2. 岡田依里, 2003『企業評価と知的資産』(改訂版)税務経理協会
  3. 企業財務制度研究会・減損会計研究委員会, 1998『減損会計をめぐる論点』企業財務制度研究会
  4. 広瀬義州, 2003『「ブランド」の考え方』中央経済社
  5. 広瀬義州, 2006『知的財産会計』税務経理協会
  6. 広瀬義州・吉見宏, 2003『日本発ブランド価値評価モデル』税務経理協会
  7. 経済産業省企業法制研究会, 2002『ブランド価値評価研究会報告書』経済産業省
  8. 伊藤邦雄編, 2006『無形資産の会計』中央経済社
  9. 梅原秀継, 2000『のれん会計の理論と制度』白桃書房
  10. 梅原秀継, 2001『減損会計と公正価値会計』中央経済社
  11. 古賀智敏, 2005『知的資産の会計』東洋経済新報社
  12. 白石和孝, 1997『知的無形資産会計』新世社 
  13. 白石和孝, 2003『イギリスの暖簾と無形資産の会計』税務経理協会
  14. 中央青山監査法人研究センター編, 2002『減損会計基準ガイドブック』中央経済社
  15. 辻山栄子, 2004『逐条解説 減損会計基準』中央経済社
  16. 山内 暁, 2010『暖簾の会計』中央経済社
  17. 米山正樹, 2003『減損会計-配分と評価-』(増補版)森山書店
  18. Hand, J. & B. Lev, 2003, Intangible Assets, Oxford University Press. (広瀬義州他訳, 2008『無形資産の評価』中央経済社)
  19. Lev, B., 2001, Intangibles : Management, Measurement, and Reporting, The Bookings Institution Press. (広瀬義州・桜井久勝監訳, 2002『ブランドの経営と会計』東洋経済新報社)
  20. Tollington, T., 2002, Brand Assets, John Wily & Sons, Ltd.(古賀智敏監訳, 2004『ブランド資産愛知学院大学大学院経営学研究科の会計』東洋経済新報社)

(負債会計、及びストック・オプション会計)

  1. 加藤盛弘, 2006『負債拡大の現代会計』森山書店
  2. 徳賀芳弘, 1990『負債の定義と認識』九州大学出版会
  3. 西澤健次, 2005『負債認識論』国元書房
  4. 柴 健次, 1999『自己株式とストック・オプションの会計』新世社
  5. 野口晃弘, 2004『条件付新株発行の会計』白桃書房 愛知学院大学大学 
  6. 野口晃弘, 1999『条件付持分証券の会計』新世社院経営学研究科

(退職給付会計)

  1. 企業財務制度研究会編, 1999『年金会計』中央経済社
  2. 中村文彦, 2003『退職給付の財務報告』森山書店
  3. 今福愛志, 1996『企業年金会計の国際比較』中央経済社
  4. 今福愛志, 2001『労働債務の会計』白桃書房
  5. 今福愛志・五十嵐則夫, 2001『退職給付会計』中央経済社
  6. 三菱UFJ信託銀行FAS研究会訳, 2008『米国の企業年金会計基準』白桃書房

(資本会計)

  1. 弥永真生, 2003『「資本」の会計』中央経済社
  2. 黒沢清主編・番場嘉一郎責任編集1968『近代会計学大系Ⅲ』(持分会計論)中央経済社
  3. 五十嵐邦正, 2008『資本会計制度論』森山書店
  4. 石川鉄郎・北村敬子編, 2008『資本会計の課題』中央経済社
  5. 中村忠, 1969『資本会計論』白桃書房
  6. 染谷恭次郎・武田安弘1971『現代資本会計論』中央経済社

「フロー会計・実証分析全般」

(資金、及びキャッシュ・フロー会計)

  1. 百合草裕康, 2001『キャッシュ・フロー会計情報の有用性』中央経済社
  2. 染谷恭次郎, 1960『資金会計論』中央経済社
  3. 染谷恭次郎, 1999『キャッシュ・フロー会計論』中央経済社
  4. 鎌田信夫, 1995『資金会計の理論と制度の研究』白桃書房
  5. 鎌田信夫, 1999『キャッシュ・フロー会計』税務経理協会
  6. 鎌田信夫編, 1997『現金収支情報の開示制度』税務経理協会
  7. 高橋良造, 1998『資金会計論』税務経理協会 
  8. 上野清貴, 2001『キャッシュ・フロー会計論』創成社
  9. 佐藤倫正, 1993『資金会計論』白桃書房

(外貨換算会計)

  1. 日本公認会計士協会当協会編, 1981『為替換算会計の実務』中央経済社
  2. 宮田達郎, 1980『外貨建取引等会計処理基準十講』同文舘
  3. 井上達男, 1996『アメリカ外貨換算会計論』同文舘
  4. 小野武美, 1998『外貨換算会計』新世社
  5. 森田哲彌・白鳥庄之助編, 1997『外貨建取引等会計処理基準詳解』中央経済社

(会計理論・会計制度と実証分析、及び収益認識)

  1. 須田一幸, 2000『財務会計の機能』白桃書房
  2. 須田一幸編, 2004『会計制度改革の実証分析』同文舘
  3. 須田一幸・山本達司・乙政正太編, 2007『会計操作』ダイアモンド社
  4. 石塚博司編, 2006『実証会計学』中央経済社
  5. 一ノ宮士郎, 2008『QOE利益の質分析』中央経済社
  6. 伊藤邦雄, 2007『ゼミナール企業価値評価』日本経済新聞社
  7. 大日方隆, 2007『アドバンスト財務会計』中央経済社
  8. 友杉芳正・田中弘・佐藤倫正, 2008『財務情報の信頼性』税務経理協会
  9. 企業財務制度研究会・包括利益研究委員会, 1998『包括利益をめぐる論点』企業財務制度研究会
  10. 財務会計基準機構, 2003『収益認識に関する調査』財務会計基準機構
  11. 佐藤信彦編, 2003『業績報告と包括利益』白桃書房
  12. 中央青山監査法人研究センター編, 2002『収益の認識』白桃書房
  13. 草野真樹, 2005『利益会計論~公正価値評価と業績報告』森山書店
 指標予測レポート(簿記と銀行政策/金融行政)

「金融機能強化法の失効に伴う、各指標推移予測レポート(2011年11月21日発表)」

「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」、及び「金融機能の強化のための特別措置に関する法律、及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律」の成立を受け閣議決定、「金融機能の強化のための特別措置に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」と併せて公布(2008年12月17日施行)。

2005年4月(当時)のペイオフ完全解禁を機に金融不安を起こさないよう、合併・経営統合での経営体質の改善を目指し、特に地域金融機関に対して健全行にも予防的に公的資金による資本増強ができる制度。公的資金投入を通じた地域金融機関の経営再建(2004年8月施行)で、同法失効後に何がどのような変化するのかの各種シミュレーションを行った。

同法を背景に、大手銀行は早々に不良債権処理を進めたものの、地域金融機関は依然不良債権処理が進まず健全化が課題だったが、自己資本に乏しく経営基盤の弱い地域金融機関が、大手行と同じスタイルで不良債権処理を進められず、預金者にも悪影響が及ぶ可能性があると言われてきた。

このため公的資金を予備的に入れる事で、不良債権処理が遅れがちな地域金融機関の経営強化を通じた金融システムの安定化を狙いとしていたが、同法執行によりどの様な指標がどの程度変化したのか、また他法との相互関連性から今後どの様な影響が出てくるのかの各種シミュレーションを行った。

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(2011年11月21日発表)

「自己資本比率一部弾力化措置の効果実証レポート(2012年4月11日発表)」

銀行等の自己資本比率規制の一部弾力化について(2008年11月、通達、金融庁)。

金融資本市場安定対策の一環として、銀行の自己資本比率規制について、「現在の市場環境の下、自己資本比率の急激な変動により、金融機関の金融仲介機能を低下させないよう、国際合意の枠組みも踏まえつつ、規制の一部弾力化を図る」とされた。

右記3自治体(広島県、愛知県、神奈川県)に在する地域金融機関、各県3行、計9行を対象に、本特例措置施行2008年12月期決算時から2012年3月期決算までの間、どのような具体的効果があったのか、①10指標を計量的シミュレーションし、②その詳細を事後分析した。

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(2012年4月11日発表)

「中小企業円滑化法の失効に伴う、各指標推移予測レポート(2012年11月9日発表)」

中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律(2009年11月30日成立)。

当初の時限失効規定から2度の法改正を経て、2013年3月末に失効予定。

同法は、金融機関に対し中小企業や住宅ローンの借り手が貸付条件の変更等を申し出た場合、出来る限り対応するよう求めたものだが、2013年3月末の同法失効による中小企業心理の悪化懸念に連動し、右記の各地域に在する計9行の地域金融機関に与える具体的影響を計量的シミュレーションした(浜松市3行、東大阪市3行、藤沢市3行)。

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(2012年11月9日発表)

「金融機関同士の合併・提携後のCAR数値レポート(2012年4月11日発表)」

経営統合後(一部統合を含む)の預金取扱金融機関における経営各指標を計量的シミュレーションした

調査・研究対象の金融機関リスト

推移予測対象の指標

   金融システム安定化(相関図)

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(2012年4月11日発表)

 調査・研究

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(ア)資産査定に関する基準の見直し

 (ア)資産査定に関する基準の見直し

資産査定の基準については、市場評価との整合性を図るため、以下の措置を講ずる。

①引当に関するDCF的手法の採用 

主要行及び地方銀行・第二地方銀行・商工中金・信用金庫・信用組合において要管理先の大口債務者については、DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)方式を基礎とした個別的引当を原則とし、早急に具体的手法を検討する。

② 引当金算定における期間の見直し

主要行及び地方銀行・第二地方銀行・商工中金・信用金庫・信用組合において、暫定的に定められている1年基準及び3年基準について、米国等の扱い等を踏まえ検討を行う。

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(イ)特別検査の再実施

(イ)特別検査の再実施

平成15年3月期について、リアルタイムの債務者区分の厳格な検証を継続する形で、特別検査の実質的な再実施を行う。検査官の優位的立場を利用した金融機関等との癒着・不正については、刑事罰則の適用も視野に入れた体制を整備する。

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(ウ)自己査定と金融庁検査の格差公表

(ウ)自己査定と金融庁検査の格差公表

これまで実施された金融庁検査を基に、主要行及び地方銀行・第二地方銀行・商工中金・信用金庫・信用組合の自己査定と検査結果の格差について集計ベースで公表する。自己査定と検査結果の格差については、今後定期的に公表する扱いとし、各行に格差是正を求める。

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(エ)自己査定の是正不備に対する行政処分の強化

(エ)自己査定の是正不備に対する行政処分の強化

正当な理由がないにもかかわらず自己査定と検査結果の格差が是正されない場合には、当該行に対し、業務改善命令を発出する方針を明確化する。

その際には、刑事罰則の適用も視野に入れた体制を整備する。

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(オ)財務諸表の正確性に関する経営者による宣言

(オ)財務諸表の正確性に関する経営者による宣言

資産査定を含む財務諸表が正確であることに関し、代表取締役及び取締役全員(監査役を含む)に署名を求めることを検討する。

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(ア)自己資本を強化するための税制改正

(ア)自己資本を強化するための税制改正

金融機関の自己資本を強化するため、以下の措置を関係府省に強く要望する。

① 引当金に関する新たな無税償却制度の導入

破綻懸念先以下の債務者に関しては、金融庁の監督と検査の下での自己査定の結果を以って無税対象と認定する制度の導入を要望する。また、部分直接償却により企業会計上損失が確定した場合についても、例えば、無税償却に係わる担保処分要件の緩和等特段の配慮を求める。

② 繰戻還付金制度の凍結措置解除

欠損金の繰戻還付について、凍結措置の解除及び期間の延長を要請する。

③ 欠損金の繰越控除期間の延長検討

現行5年7年となっている繰越控除期間の延長を要請する。

(イ)繰延税金資産に関する算入の適正化

(イ)繰延税金資産に関する算入の適正化 

繰延税金資産については、その資本性が脆弱であるため、自己資本比率規制における取扱いについては、会計指針の趣旨に則ってその資産性を厳正に評価するとともに、算入上限についても速やかに検討する。

(ウ)繰延税金資産の合理性の確認

(ウ)繰延税金資産の合理性の確認

主要行金融機関の経営を取り巻く不確実性が大きいことを認識し、翌年度を超える将来時点の課税所得を見積もることが非常に難しいことを理解した上で、外部監査人に厳正な監査を求めるとともに、主要行金融機関の繰延税金資産が厳正に計上されているかを厳しく検査する。

(エ)債務者に対する第三者割当増資部分の検討

(エ)債務者に対する第三者割当増資部分の検討

債務者が引き受けている第三者割当増資部分に関しては、実質的な迂回融資になっていないかなど、資本としての適格性を念入りにチェックする。 

(オ)銀行の自己資本のあり方に関する考え方の整理

(オ)銀行の自己資本のあり方に関する考え方の整理

今回の一連の措置で整理し切れなかった論点については、金融庁としての見解を引き続き検討し、今後の自己資本比率規制の見直しにつなげる。

「新しい金融行政の枠組み」の構築における、金融機関の資産査定の厳格化、また自己資本の質の実態を見極めた真の充実を再確認すると同時に、過大な利益準備金の計上は過大な配当可能額払出の誘発につながることに鑑み、実際に不当に不良債権処理を隠蔽し利益準備金を多くして配当を行えば会社法上(旧商法上)の違法配当、金融商品取引法上(証券取引法上)の有価証券報告書虚偽記載に該当することを確認し、刑事罰則の強化を視野に入れた体制を整備する。

<狙い>

  • 刑事罰規定の強化により、金融機関の更なる「資産査定の厳格化」、「自己資本の充実」を促す
  • 現行の刑事罰規定の度合いは、モラルハザードを誘発する懸念がある
  • 刑事罰規定の強化は、十分な猶予期間後に適用すべき
  • 実際の刑事罰の執行を目的とせず、過去の刑事罰規定に抵触する案件・関係者については特赦する配慮

(カ)自己資本比率に関する外部監査の導入

(カ)自己資本比率に関する外部監査の導入

自己資本比率規制上の自己資本比率の算定、また預貸率、劣後債、劣後ローンの増額についてのモニタリングを外部監査の対象とすることについて、法令上の手当を含めて検討する。

(キ)金融機関における預貸率について、今まで以上に厳格な一定の基準を設けることとし、また劣後債、劣後ローンの増額に歯止めをかけるよう、一定の基準を設けることとする。

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(ア)外部監査人の機能

(ア)外部監査人の機能

資産査定や引当・償却の正確性、さらに継続企業の前提に関する評価については、外部監査人が重大な責任をもって、厳正に監査を行う。その際には、監査する側、される側双方において刑事罰則の強化も視野に入れた体制を整備する。また、外部監査人の有限責任化の廃止を視野に入れた体制を整備する。

(イ)優先株の普通株への転換

(イ)優先株の普通株への転換

政府が保有している銀行の優先株の普通株への転換については、期限の到来、経営の大幅な悪化など諸条件に該当する場合には転換する方向で、運用ガイドラインを可及的速やかに整備する。その際には、資本増強行に対するフォローアップにかかる行政上の措置についての考え方を厳格化し、転換を促進する体制を整備する。

(ウ)健全化計画未達先に対する業務改善命令の発出

(ウ)健全化計画未達先に対する業務改善命令の発出

健全化計画等の未達に関しては、その原因と程度に応じて必要性を判断し、行政処分を行うとともに、改善が為されない場合は、責任の明確化を含め厳正に対応する。その際には、刑事罰則の強化も視野に入れた体制を整備する。

<狙い>

  • 健全化計画の作成時に厳格な内部統制を促す
  • 実現可能性の低い健全化計画の作成を回避させる
  • 刑事罰規定の強化により、更なる「資産査定の厳格化」、「自己資本の充実」を促す

(エ)早期是正措置の厳格化

(エ)早期是正措置の厳格化

早期是正措置における現行区分のあり方を含め、各区分における措置の内容を厳格に見直す。

(オ)「早期警戒制度」の活用

(オ)「早期警戒制度」の活用

自己資本比率に表されない収益性や流動性等、銀行経営の劣化をモニタリングするための監督体制を整備する。

過去にわが国の金融機関において公表されていた自己資本比率と、破綻後に判明した実質的な自己資本比率の「差」が著しく乖離していた反省を踏まえ、また今後の自己資本比率の正確性を期すため、国際銀行協会の発起によって、内閣府に設置される官民共同の「金融セクター推進機構(仮称)」(Financial Sector Promotion Organization:FSPO)が監督する「早期警戒制度」の指針に従い、金融機関の自己資本の質の実態を見極めた真の充実をはかる体制を整備する。

また、各関係府省庁の発布するガイドラインや措置・通達にかかる、金融機関の自己資本比率の不当な上昇に影響する事項の検証についても同様とする。

<狙い>

  • 外資連合の監視で、金融早期健全化法でカバーしきれない箇所を「早期警戒制度」として整備する
  • 外資連合に対し、日本の金融再生にかかる施策をアピールすると同時に、外資導入の道筋をつける
  • ただし、外資連合が「監視の役割」と「投資家の役割」を混合しないよう、ルールに反した場合の重度の罰則規定・執行規定を整備する
 歴代政策集(閣議決定)

土地・債権流動化トータルプラン(1998年4月)

土地・債権流動化トータルプラン

1:債権債務関係の処理の円滑化

1.債権債務関係の処理の円滑化

  1. サービサー制度の創設
  2. 債権放棄にかかる税務上の取扱の明確
  3. 競売手続円滑化法の施行
  4. 再建型倒産法制の整備[民事再生法]
  5. 共同債権買取機構の機能拡充

(1)不動産担保付不良債権等に係る債権債務関係の整理のため、あっせん・調停等当事者の合意に基づく手続を通じて不動産担保付不良債権等に係る債権債務関係等を明確化し、整理するための体制(臨時不動産関係権利調整委員会(仮称)の設置)の整備に向け、必要となる法律案を次期国会に提出すべく総合的な検討を行うとともに、当該あっせん・調停等によって債権者及び債務者の合意が得られ、債務者の合理的な再建計画が策定される場合の税制上の措置を検討する。

(2)担保不動産の売却、不良債権の一括売却、証券化等のための収益還元法の活用等による債権並びに不動産の適正評価手続(デュー・デリジェンス)の確立と税務上の対応の明確化を図る。

(3)競売制度の迅速・円滑化等のため、情報の開示促進、手続の簡素化の促進、執行妨害対策の強化、競売実施体制の充実強化に向け、制度全般の見直しについて、引き続き検討する。

(4)債権回収と債権管理を行ういわゆるサービサーについては、現在進められている立法化の動きも踏まえ、必要な検討を行う。

(5)共同債権買取機構(CCPC)の機能の拡充を図るとともに、担保不動産の有効利用・流動化の推進と不良債権の実質的処理の促進を図る。

(6)資産担保証券(ABS)の流通市場整備のため、不動産インデックス(指標)を始めとする不動産の情報化及び不動産情報のディスクロージャーの拡充を推進する。また、郵貯・簡保資金による資産担保証券(ABS)への運用について、平成11年度に向けて検討する。
 なお、今後のABS市場の発展状況を見極め、不良債権処理を促進する観点から、モラルハザードが発生しないよう十分な配慮をしつつ、官民の幅広い市場関係者の寄与のあり方を含めた、市場育成のための環境整備についての更なる検討を行う。

(7)中小企業の発行する社債に信用保証協会の保証を付す等、社債発行を促進するための方策について、早急に結論を得るべく検討するとともに、私募債の転売制限を撤廃する。

2:虫食い土地の集約・整形化

2.虫食い土地の集約・整形化

  1. 都市基盤整備公団の活用 [出資金等 3,000億円]
  2. 都市開発のスピードアップのための制度改善
  3. 競売手続円滑化法の施行
  4. 再建型倒産法制の整備[民事再生法]
  5. 共同債権買取機構の機能拡充

(1)都市再開発を強力に進めるための仕組みづくりとして、建設大臣が積極的に再開発事業を後押しする手続を確立するとともに、都市再開発法の認可手続の迅速化、敷地整序型土地区画整理事業の推進を図る。

(2)住宅・都市整備公団を活用した低未利用地の有効利用促進のため、公団内に土地有効利用事業推進本部(仮称)の設置、土地取得のための臨時の出資金・財政投融資の適切な活用等を通じて、新たな仕組みを整備し、3,000億円程度の事業を実施する。

(3)土地の流動化・有効利用に向け、民間都市開発推進機構の土地取得業務枠を5,000億円程度拡大するとともに、時限的に専門家集団からなる都市開発プロモート体制を整備し、情報交換、民間都市開発プロジェクト等に対する助言、計画の提案等を積極的に行う。

(4)政府系金融機関等による都市再開発等に対する信用補完を充実することとし、住宅金融公庫の保険業務の拡充(3,500億円程度の事業の追加)、民間都市開発推進機構の参加業務の追加(400億円程度)等の措置を講じる。

3:都市の再構築のための公的土地需要の創出

3.都市の再構築のための公的土地需要の創出

(1)今後の社会資本整備を円滑かつ効率的に進める観点をも踏まえ、国の公共用地の先行取得を推進することとし、3,200億円程度の事業を実施する。

(2)地方公共団体等における用地の先行取得の促進を図るため、土地開発基金及び土地開発公社の活用を図るとともに、公共用地先行取得等事業債等による積極的な対応を図ることにより、8,000億円の規模で事業費の追加を要請する。また、基幹的な公共施設用地の先行取得に係る利子負担軽減措置について面積要件を緩和する。

(3)防災性の高い安全なまちづくりのため、防災性向上に資する公園緑地の整備の拡充等を行う。

(4)高齢者・障害者等にやさしいまちづくりのため、新ゴールドプラン等による施設整備の前倒しを行うとともに、高齢者向け公営住宅等の供給を促進する。

(5)中心市街地活性化などにより都市の再生を図る。

金融再生トータルプラン(1998年12月)

金融再生トータルプラン

1.土地・債権流動化と土地の有効利用

1.土地・債権流動化と土地の有効利用

(1)債権債務関係の迅速・円滑な処理

① 臨時不動産関係権利調整委員会(仮称)の創設
 あっせん、調停等当事者の合意に基づく手続を通じて不動産担保付不良債権等に係る債権債務関係等を整理するために、臨時不動産関係権利調整委員会(仮称)を設置することとし、所要の法案を次期国会に提出する。
 法案の骨子は、概ね以下のとおりとする。

  • 委員会の所掌事務は、不動産に設定された担保権、当該不動産の保有者を債務者とする債権債務関係等に関する調整のための、あっせん、調停及び仲裁とする。
  • 委員会は総理府に設置する。
  • 委員会は、委員長及び委員で組織し、内閣総理大臣が任命する。
  • あっせん又は調停の申請は、債務者、担保権者、主要な債権者及びその他の関係者(保証債務者等)が行う。
  • 委員会は申請を受けて、債務者並びにその事業再建のために不可欠と認められる範囲の担保権者、債権者及び利害関係人が手続の当事者として参加することが見込まれる場合に、あっせん又は調停を行う。
  • あっせん等により当事者の合意が得られ、合理的な再建計画が策定される場合における、債権放棄による損失の損金算入及び債務の免除益の累積欠損金との相殺の規定ぶり等について検討する。

② 債権放棄に係る税務上の取扱いの明確化
 合理的な再建計画に基づく債権放棄により発生する損失については、税務上損金の額に算入する旨の一般的取扱いについて、その一層の明確化を図るため、

  • 合理的な再建計画に基づく利益供与の類型としては債権放棄も含まれること
  • 整理や再建の対象となる子会社等の範囲には取引先、役員を派遣している会社及び資金を貸し付けている会社等が含まれること
  • 利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたと認められる計画については、原則として、「合理的な再建計画」として取り扱うこと

等を明らかにする旨の法人税基本通達の改正を行った(6月8日公表)。

③ 適正評価手続(デュー・デリジェンス)の確立
 デュー・デリジェンスを導入するに当たり、担保不動産又はこれらに関する権利の経済的価値を判定し、債務者の資産状況をも考慮した債権の適正な価値を決定するための適切な手続、特に将来収益予想に基づいた収益還元手法を活用するための適切な手法を確立することが求められている。このため、まずは、不良債権の担保となっている不動産の鑑定評価に当たって不動産鑑定士が留意しなければならない事項をとりまとめる。具体的には、社団法人日本不動産鑑定協会と協力し、不良債権の担保不動産の売却を想定して、

  • 担保不動産の収益を前提にした収益価格を算出するための具体的な手法
  • 売り主側の早期売却希望が存在する場合の減価に関する留意事項
  • 対象物件の置かれている制約状況(狭小、接道状況等)に応じて現実の買い主が限定される場合の減価に関する留意事項

等について、検討を進めており、夏頃までに所要のとりまとめを行う。
 なお、共同債権買取機構(CCPC)は、不良債権買取業務を再開するに際して、客観的な適正評価手続により買取価格の決定を行うこととしている。

④ 競売手続の迅速・円滑化
 競売手続の迅速・円滑化を図るため、民事執行法の一部改正等の法整備を行うこととし、そのための法案を議員立法として次期国会に提出する。併せて実務の運用改善のための措置を講ずることとする。具体的内容は、概ね以下のとおりとする。

  • インターネット等を利用して競売物件に関する情報を広く開示し、また、法改正により買受代金支払のための銀行ローンの担保設定を容易にすることで、国民一般の競売市場への参加を促進し、開かれた競売制度を確立する。
  • 滞納処分が先行した場合の調整手続を簡素化するとともに、住宅金融債権管理機構等が作成した調査資料を活用して民事執行手続の一部を省略できるようにするなど、競売手続の簡素化を図るための法改正を行う。
  • 暴力団関係者等による執行妨害に対して厳正な対処をするため、民事執行法上の保全処分を強化し、また、競売物件に関する執行官の調査権限を拡充するための法改正を行う。

⑤ サービサー制度の創設
 債権の管理及び回収を業として行ういわゆるサービサーを、弁護士法の特例として創設することとし、そのための法案を議員立法として次期国会に提出する。サービサー法(仮称)の骨子は、概ね以下のとおりとする。

  • サービサー業につき法務大臣による許可制とする。
  • サービサーの扱える債権は、当面、金融債権、リース・クレジット債権等とする。
  • サービサーは株式会社とし、最低資本金額を設ける。
  • 暴力団の参入を排除するための措置を講ずる。
  • 債権回収の適正を確保するため、サービサーの取締役に弁護士の選任を義務付ける等弁護士の関与を求める。
  • 債権回収に関する行為規制を施し、所要の罰則を設ける。

⑥ 共同債権買取機構(CCPC)の機能拡充等
 共同債権買取機構(CCPC)は、その機能拡充等のため、以下の措置を講ずる。

  • 本年度下半期のできるだけ早い時期に不良債権買取業務を再開することとする。
  • 再開にあたっては、買取り基準を緩和し、競売申立済債権、求償債権等を対象に加え、また、買取り価格の決定は、客観的な適正評価手続(デュー・デリジェンス)のマニュアルに沿って買い切る方式とし、ノンリコースローンファイナンス(債務者の資産全体でなく特定の財産に責任を限定した貸出)を活用することとする。
  • 再開にあたっては、出資金融機関の全面的な協力、連携の下、CCPC債権の証券化・バルクセールへの取組み、住宅・都市整備公団や民間都市開発推進機構との連携などの諸施策を展開する。買取り不良債権を1年程度にて処理することに努め、我が国金融界の不良債権の実質的処理の推進を図る。

⑦ 金融機関の自己競落会社の機能拡充
 金融機関の自己競落会社についても、民間都市開発推進機構をはじめ、関係各方面と連携しつつ、保有する土地の有効利用を推進することが望まれている。このため、担保不動産の自己競落に関し、原則として裁判所が公告した最低売却価額によることとされている要件を撤廃することとし、去る6月8日に、自己競落会社に関する金融機関に対する通達を廃止した。また、同時に、自己競落会社につき土地の有効利用に努めること、流動化の検討に努めること等をガイドラインにより明確化したところである。

⑧ 資産担保証券(ABS)の流通市場の整備
 不動産投資市場の整備の一環として、投資家が株式や債権と比較して投資判断を行う際の指標となる不動産インデックスや、不動産を裏付けとする資産担保証券(ABS)のうち公募のものに係る情報開示(ディスクロージャー)の基準について検討を進めている。
 本検討を踏まえ、先般成立した特定目的会社(SPC)法の9月施行に向けて、同法に基づき発行される資産担保証券について、資産流動化計画及び証券取引法上の情報開示等、所要の措置を講じていくこととする。

(2)土地の整形・集約化と都市再開発の促進

① 都市再開発を強力に進めるための仕組みづくり
 都市再開発事業を迅速化するため、「再開発緊急促進制度要綱(仮称)」を速やかに制定し、緊急かつ重点的に実施すべきものとして建設大臣が認定した事業について、その実施に必要な都市計画の決定・変更、施行の認可等の手続を迅速かつ適切に行うことにより、事業の早期の実現を図る。
 また、都市再開発法の認可手続きを迅速化するよう地方公共団体を指導するとともに、引き続き民間再開発を円滑に進めるための方策について法制面の課題を含め検討する。

② 住宅・都市整備公団の積極活用
 既成市街地の低未利用地を活用し、土地の整形・集約化と再開発、まちづくりを促進するため、住宅・都市整備公団の技術力とノウハウを集中的に活用することとし、公団内に土地有効利用事業推進本部を設置した(6月22日)ところである。また、土地取得のための臨時の出資金(2,000億円)・財政投融資(1,000億円)の適切な活用、特定再開発事業(土地区画整理事業)の面積要件の緩和を行い、官民共同により土地の有効利用を促進する。

③ 民間都市開発推進機構を活用したプロモート体制の構築
 低未利用地における民間再開発事業を推進し、土地の流動化と有効利用を促進するため、共同債権買取機構を始めとした関係機関と連携して、民間都市開発推進機構に時限的に都市開発、金融、行政、法律、会計・税務等の専門家を集めた都市開発プロモート機関(「再開発・土地有効利用支援センター」)を設置した(6月22日)ところである。同センターにおいては、民間再開発の事業化に際して様々な問題に直面している民間事業者等に対し、不動産情報の調査・収集・提供、土地の有効利用のための調査・助言・計画の提案等の業務を積極的に行うこととしている。また、土地取得業務に必要な民間借入金に係る政府保証の枠(平成10年度末までに1兆円)を5,000億円拡大し、同業務の積極的な推進を図る。

(3)公的土地需要の創出
 民間の事業意欲が大きく後退している中で、防災性の高い安全なまちづくりや高齢者・障害者等に優しいまちづくり、中心市街地活性化などによる都市の再生などの事業の実施に必要な公共的用地の取得を積極的に推進するための諸施策を広範に講じる。先般成立した平成10年度補正予算において、公共用地先行取得のため国における事業費3,174億円(国費1,781億円)を計上した(この他、地方公共団体の事業費8,000億円)ところであり、速やかに事業を実施していくこととする。

2.金融機関の不良債権の実質的処理、経営健全化等

2.金融機関の不良債権の実質的処理、経営健全化等

(1)金融機関の不良債権の実質的処理
 金融機関の不良債権問題の実質的処理のためには、金融機関経営に対して市場規律を徹底することにより、不良債権処理のため取組みを促進することが重要である。そのため、米国証券取引委員会(SEC)と同等の、より強化された基準により不良債権のディスクロージャーを徹底するとともに、本年4月に導入された早期是正措置において、公認会計士の関与の下で、金融機関の資産の自己査定に基づく適正な償却・引当を進め、さらに、これを銀行検査等により厳正にチェックすることとしている。これらの措置と、バルクセール、共同債権買取機構への売却等の債権流動化とが相まって、不良債権をバランスシートから落とすなど、その実質的処理を推進する。こうした観点から、6月22日に発足した金融監督庁は、緊急的対応として、主要19行に対し、集中的に検査を行う。

(2)金融機関の経営健全化
 金融機関においては、リストラの徹底と責任ある経営体制の整備が求められており、金融機関のリストラ状況その他経営内容の実態について、一層の情報開示を促進することにより、市場規律の下で、各金融機関のリストラを促していく。また、本年3月に資本注入が行われた銀行については、「経営の健全性の確保のための計画」の履行状況を預金保険機構の金融危機管理審査委員会よりできる限り早くこれを公表することとする。

(3)いわゆる「受皿銀行構想(ブリッジバンク構想)」について
 金融機関がその不良債権のディスクロージャーを徹底し、適切な償却・引当を進め、バランスシートからの抹消等の実質的処理を進めていく場合、経営困難に陥る金融機関が出てくることも懸念される。この場合、前回の預金保険法改正により、預金者保護のため整理回収銀行が受け皿になりうる措置が講ぜられたので、民間の受皿銀行が見出せなくとも、預金者保護には支障がないが、一方、健全でありながら新たな取引銀行を見出せない借り手に対する更なる適切な配慮が必要となる。このような配慮を行いつつ、破綻処理の一層の円滑化を図り、内外の信認を得られるような金融システム再生の道と健全な借り手保護を両立させる方途を検討することが重要である。このため、いわゆる「受皿銀行構想(ブリッジバンク構想)」について、負担や資金調達の問題及び借り手のモラルハザードの問題等も踏まえ、十分な検討を行い、7月のできる限り早い時期に具体的内容を明確にする。

3.不良債権の積極的処理促進の制度的枠組み整備

3.不良債権の積極的処理促進の制度的枠組み整備

(1) 不良債権等の流通市場の整備
 不良債権等を市場において売却することを容易にするためには、バルクセールや証券化等の手法も活用して、厚みのある流通市場を整備することが必要である。そうした市場を早期に立ち上げることを目的として、納税者による負担を最小化するとの観点も踏まえつつ、

  • 民間銀行や共同債権買取機構(CCPC)が抱える不良債権等の早期の適正価格での売却を促進していく。
  • 共同債権買取機構の機能を拡充し、早急に不良債権買取業務を再開することを期待する。
  • 整理回収銀行や住宅金融債権管理機構が保有する不良債権等について、貸し手・借り手責任の追及を図りつつ、徹底的な回収努力を払うとともに、早期売却を促進することとし、売却方法について検討する。
  • 金融機関の有する根抵当権付債権の共同債権買取機構等への譲渡を容易にし、不良債権の処理を促進するため、根抵当権の元本が確定する場合を明確にし、あわせて、根抵当権の元本の確定登記の手続きを簡素化する立法措置を講ずる。

(2) 不良債権等の処理のためのインフラ整備

  • 金融機関が、証券化を通じて、より簡便に不良債権等を処理できる法的インフラとして「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律」(SPC法)が先の国会で成立したところであり、その9月1日の施行に向けて、資産流動化計画の具体化など、所要の準備を進めていく。また、臨時不動産関係権利調整委員会(仮称)を創設するため、次期国会に法案提出するなど、不良債権処理のインフラ整備を進める。

4.透明性及びディスクロージャーの向上

4.透明性及びディスクロージャーの向上

 我が国金融機関に対する内外の信認を確保するため、本年3月期より、米国SEC基準と同様の基準による不良債権のディスクロージャーが行われている。また、先の国会で成立した金融システム改革法により、来年3月期より全ての金融機関に対し、連結ベースでSEC基準と同様のディスクロージャーを行うことが、罰則付きで義務化された。また、国際的な会計・ディスクロージャー基準の導入の一環として、金融商品の時価会計についても、2001年3月期からの導入を目指す。
 こうした流れの中で、金融機関等にあっても、市場規律を軸とした経営が求められており、金融機関等が市場や投資家に目を向けた自主的・積極的なディスクロージャーを行うことを期待する。

5.銀行監督及び健全性基準の強化

5.銀行監督及び健全性基準の強化

(1) 金融監督庁の発足
 6月22日には明確なルールに基づく透明で公正な金融監督の担い手として金融監督庁が発足し、裁量的な事前指導行政からルールに基づく事後チェック型行政への転換の流れが徹底されることとなる。

(2) 主要行への集中的な検査
 金融監督庁は、既に銀行法24条等に基づき金融機関に対して自己査定結果の報告命令を発出した。今後、この回答を受けて、緊急的対応として金融監督庁は日本銀行と連携しつつ、主要19行に対し、集中的な検査を実施し、なお一層の実態把握を行う。

(3) 早期是正措置に基づく厳正な対応
 検査結果を踏まえ、自己資本比率に応じた措置区分に従い、経営改善計画の提出から業務停止に至る早期是正措置の発動を含め、厳正に対処する。

(4) 検査・監視・監督のための体制強化
 金融検査については、外部のノウハウを取り入れた検査マニュアル及びチェックリストを整備し、年内に公開する。また、検査後における改善状況のフォローアップや財務諸表の継続的な分析などのモニタリングを行い、このために必要なコンピューターシステムの整備を図る。
 広い意味での検査機能を充実強化するため、金融検査、金融機関の内部監査、公認会計士等による外部からの監査を有機的に連携させるとともに、金融検査機能の代行や民間のノウハウの導入に係る新たな仕組みについて早急に結論を得る。
 なお、金融監督庁の検査・監視・監督体制については、諸外国の金融検査監督当局の体制も参考に早急に見直しを行い、大幅な拡充を含む計画的な体制強化を図る。

6.金融システムの安定化と機能強化

6.金融システムの安定化と機能強化

 今後、行政は市場規律と自己責任を基軸としたルールに基づく行政へと転換していくが、金融機関が抜本的に不良債権処理を図る過程で、経営困難に陥る金融機関が出てくることも予想される。こうした場合においても、預金者保護及び金融システムの安定性確保、更には善意で健全な借り手に対する適切な配慮に万全を期す必要がある。

(1) ブリッジバンク(つなぎ銀行)制度の導入

(ア) 基本的考え方

  1. 金融機関の破綻に際して、民間の引受金融機関が登場しない場合でも、金融システムの安定と預金者保護を確保し、迅速に金融の危機管理が行える体制を整備して万全を期すこととし、金融システムに対する信頼を一刻も早く回復させる必要がある。
  2. また、民間の引受金融機関が登場しないために善意かつ健全でありながら新たな取引銀行を見いだせない借り手の対策に資する体制を整備する必要がある。
  3. このため、破綻後直ちに、その銀行の業務を公的に管理できる制度を整える。さらに、民間の引受け手が登場しない場合でも、善意かつ健全な借り手に融資を維持・継続できる公的な新銀行をブリッジバンクとして設立できる制度を整える。この場合、あくまでこの制度により破綻処理の円滑化を可能とし、金融システムの安定や預金者保護を図ることを最終的な目的とすることが基本であり、この観点から、預金保険機構を活用する。
  4. なお、厳正な審査機能を有するチェック体制を整備する。

(イ) 具体的な内容
 以下によりブリッジバンク(つなぎ銀行)制度を創設する。

  1. 金融管理人による破綻した金融機関の業務管理
  • 金融機関が破綻した場合において、必要があると認めるときは、金融監督庁長官は、直ちに破綻金融機関の業務の執行及び財産の管理をさせるため、金融管理人を選任する。
    (注)金融管理人等の適切な人材を確保するための体制を整備する。
  • 破綻金融機関の代表権、業務執行権、財産管理・処分権は金融管理人に専属する。また、金融管理人は、破綻に至った経緯等についても実態解明を行う。
  • 破綻金融機関は、資産の健全性の確保に努めつつ、善意かつ健全な債務者に対して、金融管理人の承認を受け融資を行う。
  • 金融管理人は、破綻金融機関の業務を、できる限り速やかに引受け手としての民間金融機関に継承するよう努め、やむを得ない場合には、公的ブリッジバンクに継承する。
    なお、継承が円滑に行われるよう法的な環境整備を進める(特別決議のための株主総会が開催できなかった場合の特例、根抵当権の移管の円滑化等)。
  • 公的ブリッジバンクの設立
  • 預金保険機構は、「平成金融再生機構(仮称)」(銀行持株会社)を公的資金により設立する。
    (注)公的資金としては、金融安定化のために措置された公的資金13兆円の枠組み(金融危機管理勘定)を活用する。
  • 平成金融再生機構(仮称)は、金融危機管理審査委員会の議決を経て、上記公的資金により、破綻金融機関の必要な金融機能を継承する公的ブリッジバンクを子会社として設立・組成する。
    (注)当該公的ブリッジバンクに対し民間出資も可能とする。
  • 金融危機管理審査委員会の下に置かれた審査判定委員会(仮称)は、破綻金融機関から公的ブリッジバンクに継承される善意かつ健全な債務者に対する債権とそれ以外の債権との仕分けを、金融危機管理審査委員会の議決を経た適正な基準に従って行う。
  • 預金保険機構は、公的ブリッジバンクの資金調達を補完するため、金融危機管理審査委員会の議決を経て、上記公的資金13兆円の枠組みを活用し、必要に応じ平成金融再生機構(仮称)を通じて公的ブリッジバンクに資金を貸し付けるとともに、その業務により発生した損失を補填する。
  • 公的ブリッジバンクは、平成金融再生機構(仮称)に置かれた融資審査委員会(仮称)の承認の下に、破綻金融機関から継承した善意かつ健全な債務者に対し、一定期間、融資を維持・継続する。
  • 政府系金融機関は、公的ブリッジバンクの斡旋を受け、公的ブリッジバンクが継承した善意かつ健全な債務者に対し、債務者の個別の事情に応じ、必要な資金を融資する。
    (注)10年度において確保されている貸し渋り対策の資金を活用する。
  • 公的ブリッジバンクは、あくまでも「つなぎ」・時限的なものであり、破綻金融機関から継承した債権・債務を、破綻時から原則2年以内(ただし、1年ごとに3回までの延長可)に、営業譲渡等により民間金融機関に移管する。 

(ウ) また、この制度の整備及び運用に当たっては、必要な透明性の確保に努める。

(エ) この制度を整備するため、所要の法案を次期国会に提出する。

(2) 貸し渋り対策として、政府系金融機関の13兆円の資金の活用政府系金融機関においては、いわゆる「貸し渋り」に対応するため、平成10年度は約13兆円の資金量を確保しているところであり、今後とも、中小企業・中堅企業等の資金需要に十分応えることができるよう積極的に対処していく。

(3) 金融安定化2法で措置された30兆円の活用による金融機関の再編・リストラ
 金融機関の再編に当たっては、金融システムの安定と預金者保護への配慮が不可欠である。具体的には、金融安定化2法で措置された17兆円の公的資金が活用されることにより、預金の全額保護の徹底を図りつつ、経営困難に陥った金融機関の適時適切な破綻処理を進めることを通じて、合併・営業譲渡による金融機関の再編を図る。
 また、民間金融機関の側においても、自ら金融機関の再編やリストラに果敢に取り組むことが重要である。このため金融危機時における自己資本充実のための13兆円の活用に当たっても、不良債権の適切な償却・引当、売却等やリストラを含む「経営の健全性確保のための計画」の着実な実施が必要である。これらにより金融再編と金融システムの再生が強く期待される。

(4) 破綻金融機関の経営者及び株主の責任の明確化
 金融機関の破綻処理に当たっては、経営者の退任及び民事・刑事上の厳格な責任追及や株主の損失負担という原則を貫くものとする。

日本経済サバイバルプラン(2000年10月)

日本経済サバイバルプラン

(1)厳しい自己査定と引当の厳格化(不良債権の実態に対する信認の回復)

(1)厳しい自己査定と引当の厳格化(不良債権の実態に対する信認の回復)

  • 不良債権処理については、この3年間に米国SEC基準と同じ開示基準の適用、厳格な自己査定の実施、償却・引き当てルールの充実・強化、検査マニュアルに基づく検査の充実・強化が行われてきた。
  • その結果、第3、第4分類債権については、十分な引当が実施されてきたほか、債権売却(バルクセール)、債権放棄、競売の促進などにより、3年間で10兆円を直接償却。
  • 一方で、開示基準適用の一層の厳格化が進み、また経済情勢の悪化もあって、リスク管理債権はむしろ増加して32兆円となっている。
  • マーケットは、金融機関が、特に問題企業について経営状況を十分に把握していないために破綻懸念先であるべき先を要注意先としているのではないかとの疑念をぬぐえない。それらを払拭するため、特に要注意先債権に着目し、産業を取り巻く経済状況を踏まえた厳正な債務者分類と引当を実施。さらに実効性を高めるため、厳正な外部監査を求めるとともに、金融庁による再検査を速やかに実施。

 

(2)不良債権のオフバランス化(直接償却の推進)

(2)不良債権のオフバランス化(実質処理である直接償却の推進)

  1. 期限を区切った不良債権のオフバランス化の推進
  • まずは、(1)にあるように、金融機関自らによる不良債権の実態把握とそれに基づく厳しい自己査定・引当の厳格化を求めることを前提に、金融庁による再検査を速やかに実施することで破綻懸念先債権を確定し、その上で期限を区切ってオフバランス化を推進し、これにより金融機能の再生・回復を図る。
  • 不良債権の直接償却については、1)法的整理(民事再生法、特定調停法、会社更生法、破産法など)、2) 私的整理(債権放棄)3) 債権売却の3つの手段から、その債務者の実態に最も適したものを選択し推進。
  1. 債権債務関係の処理の円滑化
  • 不良債権の処理にあたっては、輻輳する権利関係の整序等が不可欠。このため土地・債権流動化トータルプランにより、 サービサー制度の創設、b. 競売の迅速化等を実施。またバルクセールによる、30兆円規模の直接償却を実現。
  • 対象債権を拡充(ノンバンク債権、SPC等で流動化・証券化されている金銭債権、破綻企業の金銭債権)するなど、サービサー法を改正。
  1. 整理回収機構(RCC)の機能強化-アメリカ型RTCへの脱皮-
  • 整理回収機構は、これまで整理回収業務として約4兆円の買取を実施し、うち半分弱を回収するなど不良債権処理に貢献。しかし、財源を財政資金に頼り、マーケットメカニズムが働かない組織であること、また国民負担最小化原則にこだわりすぎることなどにより、業務が回収に偏り、証券化などの積極的な業務には後向き。
  • 整理回収機構がその人材・ノウハウを活かし、健全行のものを含む、不良債権全般にかかわる新たなサービサー機能を発揮できるよう、その機能を強化。
  1. 債権放棄ルールの確立 -真の企業再生の視点に立った新たなルールの創設-
  • これまでも、当事者間の合意に基づく私的整理(債権放棄)が実施され、当事者が痛みを分かち合う形での不良債権処理が進められてきた。しかしながら、これらの債権放棄が真の企業再生にはつながらず、金融機関の損切りにとどまり、再破綻の可能性がある。
  • 私的整理(債権放棄)のルールについては、モラルハザードを防止し、社会的公正性を担保した上で、その企業が真に再生するかとの「企業再生」の観点を加えた新たな基準を創設し、その税務処理を一層明確化(産業全体に悪影響を及ぼす、甘い再建計画を認めない)。これにより、私的整理をスピードアップ。

(3)産業再生(産業・企業の構造改革)

(3)産業再生(産業・企業の構造改革)

  • 土地・債権流動化トータルプラン及び金融再生トータルプランにより、輻輳する権利関係の整序や土地債権の流動化も進展。
  • また、金融再生法や早期健全化法、持ち株会社や会社分割に関する企業再編制度の整備により、都市銀行をはじめとする金融再編は大きく進展。残された課題は、非製造業を中心とした債務超過企業群の存する産業の再生。
  1. 企業再建法制の拡充・活用
  • 使い勝手の悪かった和議法に代えて、新たに再建型の手続きとして民事再生法を創設。更に特定調停法を創設。
  • 新たに創設された民事再生法、特定調停法等の制度について、広くPRし、活用を促進。
  • 企業を再建させる観点から、民事再生法、会社更生法等の制度改善を実施。
  • 再建途上の企業に必要な運転資金等の確保を図る観点から、DIPファイナンスを促進。
  1. 金融検査マニュアルの見直しによる運転資金についての引当の緩和
  2. 再建手続中に破綻した場合のDIPファイナンスに係る債権に、共益債権の中でもスーパー・プライオリティを付与
  3. 資本組換え時における増資手続きの簡易化(デット・エクイティ・スワップの円滑化)
  4. 産業再生法の拡充-非製造業を中心とした債務超過企業に対する措置の創設-
  • 産業の競争力強化の観点から、産業再生法を制定し、企業統合、設備廃棄など、製造業を中心に、産業の再編・効率化を促進。
  • 製造業については、過剰設備・債務の削減などにより、産業全体の生産性は向上。
  • 債権放棄を従来想定していなかった産業再生法の適用を拡充し、非製造業も含め、債権放棄を契機とした産業の再編・効率化を推進するとの"新たな認定基準"を策定するとともに、基準を満たす債権放棄については無税償却を適用。
  • モラルハザードを防ぐ観点から、借り手企業の経営者責任・株主責任を明らかにするとともに、合理的な再建となるよう有利子負債を10年以内(業態によっては5年以内)に返済することを原則。
  1. 過剰債務(構造不況)業種に対する産業政策の新たな視点
  • 企業再生手続として民事再生法が制定され、資産劣化が進む前にスピーディな処理が可能に。経営者がやる気と能力を有する企業が、その再生に向けて本制度を適用した事例が増加。
  • 数年後に迫った減損会計の導入を控え、バブルの後遺症を抱えた企業について、企業再建手続である民事再生法、産業再生法を積極的に適用。
  1. 流通業については、「過去の拡大戦略の清算」、「消費の質の変化」、「外資系大型店の日本進出」といった環境変化に対応すべく、本業のキャッシュフローの範囲内で健全な事業展開を行う「コア・ビジネスへの回帰」を促進する。それでもなお過大な債務を抱える企業に対しては民事再生法等を適用しその再生を図る。
  2. 不動産業については、不動産の証券化を推進し、いまや過大な負担となっている土地・建物の所有を企業本体から切り離し、リスク管理の徹底を進めることにより、その構造改善を進める。過大な債務を抱える企業については、民事再生法等の適用によりその再生を図る。
  3. 建設業については、工事における施工体制のチェックの強化と過剰受注企業の排除(不良・不適格業者の排除)を行うとともに、バブル期の負の遺産を抱えた大手ゼネコンについて、マーケットで適切な選別が行われるような市場環境を整備するとともに、早期かつ確実な再建が困難な企業については民事再生法等の適用によりその再生を図る。
  • 産業再生法の適用にあたっては、2に示した新たな認定基準の円滑な運用を推進するため、"産業再生委員会"の創設(経営者責任・貸し手責任・株主責任の厳格化を前提に、産業再生、優良企業の再生を推進)を検討。
  • これまで、土地・債権流動化トータルプランでは、不良債権処理のインフラ整備の観点と、土地の有効利用、都市再生の観点から、 都市基盤整備公団の積極的活用、b. 都市開発のスピードアップ(再開発緊急促進制度の導入)、c. SPC法の施行、不動産の証券化などにより、土地の流動化を推進。
  • 資産デフレの是正と都市再生の観点から、さらなる土地・債権流動化を推進する必要。

(4)証券化・ファンド総合対策

 (4)証券化・ファンド総合対策

  1. サバイバルファンドの創設・ABS市場の整備
  • 不動産の証券化を促進する為、SPC法の創設(9施行)さらに使い勝手をよくする為の改正(H12.11施行)、投資信託法、宅建業法の改正(H12.11施行)等により、SPC関連市場として1兆円強。
  • 不動産ファンドの創設と不動産投資信託顧問業の制度化等により、今年度にも約1兆円市場が見込まれる。
  • サバイバルファンドの創設
    金融機関の有する不良債権とその担保不動産を塩漬けにすることなく、市場に出すことによって底値を形成するための受け皿として「サバイバルファンド」を創設する。ファンドはそれらの不良債権・担保不動産を取得した上で証券化することにより、マーケット・メカニズムを働かせるとともに、我が国のABS市場を育成・形成することで、不良債権の抜本的処理を促進する。
  • 投資家の投資判断に資する不動産投資インデックスの整備
  1. 時限的かつ大胆な不動産流通課税の減免
  • 土地・住宅税制については、平成13年度改正においても、 新住宅ローン減税制度の創設(控除期間10年間、最高控除総額500万円)、b. 住宅取得資金の贈与を受けた際の贈与税の非課税限度額を引上げ(550万円)等を措置
  • 不良債権の直接償却を促進することにより、担保不動産など土地の供給が増加し、資産デフレを加速する可能性。
  • 資産デフレを是正する観点から、土地の需要面での大胆なテコ入れが必要。
  • 土地の流動化を図るため、不動産取得税、登録免許税等の不動産流通課税について3年に限ってゼロ税率を適用。
  1. メトロポリタン創生会議の創設
  • 土地・債権流動化プランにおいては、都市基盤整備公団に土地有効利用推進本部などを設置し、都市再生を推進。
  • 虫食い土地の集約・整形化のため、都市基盤整備公団に出資金など3000億円を予算化。うち、既にその8割を事業化。
  • メトロポリタン創生会議の設置
    国の立場から大都市創生を強力に推進する本部として、政府にメトロポリタン創生会議を設置
  • メトロポリタン創生プロジェクトの推進
    羽田空港の大幅拡張による国際化・24時間化、横田基地の返還による首都圏第三空港化、首都高速道路の拡幅と環状線の一方通行化、新東京湾トンネルの建設(国道357号線の整備)など、経済波及効果の大きい都市部への集中投資により、都市を再活性化し景気回復への起爆剤に。
  • 都市基盤整備公団の先導的役割の強化
    都市開発の専門的なノウハウを有する都市基盤整備公団の役割を強化し、大都市の再生を推進するため、土地有効利用事業等について出資金比率を100%に拡充
  1. 整理回収機構の保有不動産の売却促進
  • ノウハウの乏しい整理回収機構の保有する不動産について、地方公共団体、民間事業者、公団からの人的支援や共同開発を行うことにより、その付加価値を増進するとともに、売却を促進。

(5)マクロ経済政策による補完

(5)マクロ経済政策による補完

  1. 日本銀行による金融緩和措置、不良再建の抜本処理を側面支援
  • 抜本的な不良債権の最終処理を断行する際には、経済に対するマイナス・インパクトは不可避であり、マクロ経済政策による補完が不可欠。
  • 3月19日に決定した日本銀行による金融緩和措置は、実質的なゼロ金利政策の復活による経済の下支えの実施であり、不良債権の抜本処理を側面支援。
  1. 金融市場調節の操作目標を日銀当座預金へ変更
  2. 消費者物価指数がゼロ%以上になるまで継続
  3. 日銀当座預金残高の1兆円程度の積み増し
  4. 長期国債買入れの増額
  5. 新たな流動促進型の雇用政策の推進
  • 経済・産業構造の転換により、労働移動の増加や労働力需給のミスマッチが発生。
  • 経済状況の悪化に機動的に対応できるよう、全産業を対象とした雇用確保策の推進。
    不況業種対策から産業政策との連携へ。
    不況業種の就業者の他産業への移動可能性について、その特性に応じた支援プログラムの策定。
  • 労働者における自立した生活設計に基づく、能力開発、再就職を支援。
    自発性を重視した職業能力開発へ。
  • ミスマッチとなっている労働者に対する在職中からの援助を促進。
    離職後対策から在職中対策へ。
  • 転職支援クーポンの創設による人材流動化支援
    建設業、不動産、流通などの分野で大量に発生すると予想される、構造改革による離職者に対して、転職や起業に役立つ講習を自由に受けられる「転職支援クーポン」を発行。

資料

不良債権早期処理のためのサバイバルファンド創設について

目的

  • SPC法の施行と改正により機能しつつあるわが国の不動産証券化市場を育成・活性化しつつ、民間のノウハウと政府の信用が相互に補完しあうためのリスクシェアリングにより、その市場メカニズムを活用し、不良債権を早期に処理。
  • 不良債権や担保不動産を塩漬けにするのではなく、市場に出すことによって底値を形成し、流動化を実現。

ポイント

  • 民間企業にノウハウが蓄積されつつあること、今後投資家層の拡大が見込まれることから、不動産担保付き債権と実物不動産に絞った処理スキームを構築。
  • 銀行・借り手のモラルハザードを抑制するため、銀行に債権・資産価値を最大化するインセンティブを残しつつ、債権・実物不動産を銀行のバランスシートから消去。

ステップ(1) 不動産担保付債権の購入

  • 政府の貸付・出資等や民間資金により、不動産担保付債権を金融機関や公的機関から購入。
  • 譲渡に際しては以下の観点より適切に査定(デューデリジェンス)。
  1. 不動産・抵当に関する錯綜する権利関係を調整。
  2. 現状における当該債権のキャッシュフローを確定(キャッシュフロー額に応じて証券を発行)

ステップ(2) 証券発行の準備

  • 投資信託委託業者に運営委託。
  • 債権についてはサービサーに委託。
  • 不動産についてはアセットマネージャーに委託、実物不動産はタイプ別に分類し処理。
  1. キャッシュフロー収益のある不動産  不動産会社へ
  2. 再開発等によってキャッシュフローの生じる不動産  民都機構・都市基盤整備公団へ
  3. その他  売却

ステップ(3) 証券発行

  • 改正投信法で流動性の低い資産にも投資が可能となった投資法人(サバイバルファンド)を用い、運営は専門家に委託。
  • 権利調整・キャッシュフロー確定の終了した資産から順に証券発行用のプールに移し、機動的に証券を発行するため、数回に分けて証券をシリーズ発行。
  • 担保付債権購入代金の約半額は証券の売却によって回収。
  • 将来の回収手段を明確化(エクイティ部分の上場)し、エクイティホルダーにインセンティブを持たせる(SPCの活用も可)
  • エクイティは 銀行、b. 政府、c. フィナンシャルアドバイザー、アセットマネージャー等(投資法人の資産マネジメントと将来のエクイティ発行・上場に期待する証券会社、不動産会社等)が保有。
  • 再劣後部分を 銀行、次をb.政府、次をc. FAMAが保有し下落リスクを取ることで、格付けの高い優先部分を投資家に販売する事が可能。

ステップ(4) エクイティの上場・公募

  • サービサーによって債権、アセットマネージャーによって不動産整理を進め、資産価値を向上。
  • 価値の高まった資産を背景に、サバイバルファンドのエクイティを上場・公募(債権だけなら米国でモーゲージREIT、債権・不動産混合ならハイブリッドREITと呼ばれる形態)。
エクイティホールダーは、上場・公募により債権・資産価値を最大化、投資資金を回収。

総合デフレ対策(2001年10月)

総合デフレ対策

1「雇用・人材育成」

第一の柱 「雇用・人材育成」

若年者を中心に依然厳しい雇用情勢に対して、新卒者の就職支援、企業の雇用維持努力への支援を進めるとともに、成長分野を中心とした雇用創造・人材育成を図る。

1.雇用・人材育成

厳しい雇用情勢が続いていることを踏まえ、新卒者の就職支援、企業の雇用維持努力への支援等を進めるとともに、成長分野を中心とした雇用創造・人材育成を図る。

(1)新卒者・若年者支援の強化

○「新卒者就活応援プログラム(仮称)」の実施等

○若年者等正規雇用化特別奨励金の拡充

○中小企業を中心とする企業と学生のミスマッチ解消

(2)雇用調整助成金等による雇用下支えと生活支援

○雇用調整助成金の要件緩和

○派遣労働者の直接雇用を促進するための奨励金の拡充

○「『住まい対策』の拡充」の延長

○貧困・困窮者の「絆」再生事業の実施

○パーソナル・サポート・サービスの制度化に向けた検討

(3)雇用創造・人材育成

○重点分野雇用創造事業の拡充

○緊急人材育成支援事業の延長等

○成長分野等人材育成支援事業の実施

○実践キャリア・アップ制度の推進

○「新しい公共」の自立的な発展の促進のための環境整備

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(1)新卒者・若年者支援の強化

厳しい就職環境、雇用情勢が見込まれる中、新卒者・若年者対策を強化する。

<具体的な措置>

○「新卒者就活応援プログラム(仮称)」の実施等【厚生労働省、内閣府】

(ア)新卒者就職実現プロジェクトの拡充

経済危機対応・地域活性化予備費において措置した「3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金」・「3年以内既卒者トライアル雇用奨励金」(「新卒者就職実現プロジェクト」)を拡充し、平成23年度末まで延長するとともに、長期の育成支援が必要な者への支援を行う。

(イ)「新卒応援ハローワーク」の機能強化によるワン・ストップ・サービスの更なる推進等

「新卒者就職実現プロジェクト」も活用しつつ、新卒応援ハローワークにおいて、ジョブサポーターを増員し、採用意欲のある中小企業等とのマッチングや定着支援、面接会の開催など、ワン・ストップできめ細かな支援の充実を図る。

また、特に雇用情勢が厳しい沖縄県において新卒者に対する就職支援を重点的に行う。

○若年者等正規雇用化特別奨励金の拡充【厚生労働省】

年長フリーター等の正規雇用を支援する「若年者等正規雇用化特別奨励金」のうち、「トライアル雇用活用型」の支給対象者(2539歳)について、25歳未満の者も対象に含めるよう年齢枠を拡大する。

○中小企業を中心とする企業と学生のミスマッチ解消【経済産業省】

ジョブカフェにおける中小企業等向けの求人開拓を一層進めるとともに、中小企業等の魅力を発信する事業を強化する。

(2)雇用調整助成金等による雇用下支えと生活支援

円高等による下振れリスクを踏まえ、企業の雇用維持努力への支援を強化するとともに、貧困・困窮者の生活支援策を強化する。

<具体的な措置>

○雇用調整助成金の要件緩和【厚生労働省】

雇用調整助成金について、急激な円高を受け、直近3か月の生産量が3年前の同時期に比べ15%以上減少している赤字の企業も対象とする要件緩和を行う。あわせて、不正受給防止対策の強化にも取り組む。

○派遣労働者の直接雇用を促進するための奨励金の拡充【厚生労働省】

派遣労働者の派遣先での直接雇用を促進するため、派遣労働者雇用安定化特別奨励金の積み増しを行う。

○「『住まい対策』の拡充」の延長【厚生労働省】

離職者への住宅手当の支給など、昨年12月の緊急経済対策により拡充した「住まい対策」について、平成23年度末まで1年間事業を延長する。

○貧困・困窮者の「絆」再生事業の実施【厚生労働省】

「職」と「住まい」を失うなど支援がなければホームレスとなるおそれのある方等に対して、NPO等民間支援団体と協働した総合相談や緊急一時宿泊施設の提供等により、地域生活への復帰、路上化予防、再路上化防止を図る。

○パーソナル・サポート・サービスの制度化に向けた検討

【内閣府、厚生労働省】

生活及び就労に関する問題を抱え、本人の力だけでは自立が難しい求職者に対し、ニーズに合った制度横断的かつ継続的な支援を行うパーソナル・サポート・サービスについて、モデル事業を実施するとともに、制度化に向けた課題の検討を進める。

(3)雇用創造・人材育成

内需主導の経済成長を目指す観点から、例えば、介護・医療など潜在的な需要が大きい分野における雇用創造・人材育成を推進する。

<具体的な措置>

○重点分野雇用創造事業の拡充【厚生労働省】

地域において、介護をはじめとした成長分野における雇用創出・人材育成の取組を促進するため、22年度末までの事業の実施期間を23年度(一部24年度)まで延長する。あわせて、対象分野について、成長分野を支える基盤として教育・研究を追加するとともに、地域の実情に応じて追加設定できることとする。

○緊急人材育成支援事業の延長等【厚生労働省】

雇用保険を受給できない方に職業訓練と生活給付を提供する緊急人材育成支援事業について、求職者支援制度の制度化までの間延長するとともに、職業訓練の修了者に対する担当者制による就職支援等の体制の強化を図る。

○成長分野等人材育成支援事業の実施【厚生労働省】

健康、環境分野及び関連するものづくり分野の生産性向上を図るため、雇入れ等を行った事業主が、職場以外での職業訓練を実施した場合に、訓練費の実費相当を支給する制度を創設する。

○実践キャリア・アップ制度の推進

【内閣府、文部科学省、厚生労働省、経済産業省】

成長分野における新しい職業能力評価・育成プログラムである実践キャリア・アップ制度の第一次プランとして、①介護人材、②省エネ・温室効果ガス削減等人材、③6次産業化人材を対象として導入することとし、年内を目途に制度全体の基本方針をとりまとめる。

○「新しい公共」の自立的な発展の促進のための環境整備【内閣府】

国民の積極的な「公」への参加による、公的サービスの無駄のない供給に向け、NPO等が自ら資金調達し、自立的に活動することが可能となるよう、環境整備を進める。

2「新成長戦略の推進・加速」

第二の柱 「新成長戦略の推進・加速」

環境・エネルギー、ライフ・イノベーションなど成長分野の基盤整備を加速しつつ、成長の成果が早期に国民に還元されるよう取組を推進する。

2.新成長戦略の推進・加速

グリーン・ライフ分野において人々や社会の課題解決を行う産業の創出、アジア経済戦略を通じたフロンティアの開拓、科学・技術・情報通信といった成長基盤の整備など、新成長戦略を推進・加速する。円高メリットの活用とあわせて、需要拡大を通じた経済成長の実現と雇用の創出により、活力ある日本経済を再生し、成長の成果を早期に国民に還元する。

(1)グリーン・イノベーションの推進 ~環境・エネルギー大国戦略~

○レアアース等天然資源確保の推進

○エコ住宅やエコ家電等の普及促進

○公共交通等のグリーン化

○グリーン投資の促進

○グリーン・イノベーションの研究開発支援の加速

○環境・エネルギー技術の海外展開促進

(2)ライフ・イノベーションの推進 ~健康大国戦略~

○ライフ・イノベーションの研究開発支援の加速

○医療サービスの情報化促進・国際化推進

(3)アジア経済戦略の推進

○アジア拠点化、EPAの円滑な実施等の推進

○インフラ/システム海外展開支援

(4)科学・技術・情報通信立国戦略の推進

○技術開発等の推進

○実証研究・評価のための企業等の施設・設備の整備支援

○産業革新機構の積極活用

(5)円高メリットの活用

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(1)グリーン・イノベーションの推進 ~環境・エネルギー大国戦略~

グリーン・イノベーションによる成長(「環境・エネルギー大国」)の実現に向け、成長を支えるレアアース等の天然資源確保を推進するとともに、エコ住宅・家電等の普及促進や、公共交通等のグリーン化による「グリーン需要」の拡大、中小企業等による「グリーン投資」の促進、最先端の「グリーン研究開発・実証」の加速、我が国環境・エネルギー技術の海外展開促進等を行う。

<具体的な措置>

○レアアース等天然資源確保の推進

(ア)鉱山等の開発、権益確保、供給確保など【経済産業省、内閣府、文部科学省】

石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じて、鉱山等買収に対する支援や技術協力による資源国との関係強化を行う。また、海洋資源探査のための無人探査機の開発の前倒し等を行う。

(イ)レアアース等代替技術の開発など【経済産業省】

レアアース等の代替及び使用量の低減につながる、「希少金属代替技術開発プロジェクト」の実用化の加速支援及び技術開発支援を行う。

(ウ)レアアース等のリサイクルなど【経済産業省、環境省】

いわゆる「都市鉱山」対策として、廃製品からのレアアース等の分解・抽出を行う技術開発や設備導入への費用補助を行うほか、実証事業の実施等を通じ、回収システムの構築などのリサイクル事業の確立を支援する。

(エ)レアアース等利用産業における設備導入支援など【経済産業省】

レアアース等を利用する産業において、依存度低減やその効率的利用など、供給リスクへの耐性を高めるための設備投資を支援する。

○エコ住宅やエコ家電等の普及促進

(ア)住宅エコポイントの対象拡充【国土交通省、経済産業省、環境省】

エコ住宅のリフォーム等に併せて設置する省エネ性能が優れた住宅システムの一体的導入を促進するため、住宅用太陽熱利用システム(ソーラーシステム)、節水型便器、高断熱浴槽へポイント発行対象を拡充する。

(イ)家電エコポイントの円滑な実施促進【経済産業省、総務省、環境省】

本年夏以降の大幅な家電需要の盛り上がりを踏まえ、家電エコポイント制度の円滑な実施を促すため、所要の制度見直しを行うとともに、追加的な予算措置を行う。

(ウ)住宅用太陽光発電システムの導入促進【経済産業省】

住宅用太陽光発電システムの導入を一層加速するため、その導入費用の一部を補助する。

○公共交通等のグリーン化【経済産業省、国土交通省】

CNG(圧縮天然ガス)トラック・バスやハイブリッドタクシー等の運送事業用の次世代自動車・環境対応ディーゼル車などの導入・普及促進のため、導入費用を補助する。また、自家用のクリーンディーゼル自動車の導入を支援する。

○グリーン投資の促進【経済産業省、環境省、国土交通省】

地球温暖化対策設備投資を行う事業者への利子補給を実施する。また、国内クレジットを活用した中小企業の低炭素型投資の促進、建築物の省エネ改修事業の費用補助、低炭素型内航海運船舶等の導入支援を実施する。

○グリーン・イノベーションの研究開発支援の加速

【経済産業省、文部科学省】

電気自動車、省エネ家電、半導体等基幹部品や革新的な生産プロセス、ノンフロン製品などの開発・実証の加速を通じ、海外に先駆けた実用化を推進する。また、国際熱核融合実験炉(ITER)計画等の推進を加速する。

○環境・エネルギー技術の海外展開促進【外務省】

ODA等を活用し、優れた環境・エネルギー技術を活用した事業の海外における展開を促進する。

(2)ライフ・イノベーションの推進 ~健康大国戦略~

ライフ・イノベーションによる医療・介護・健康関連産業を牽引役とする成長(「健康大国」)の実現に向け、日本発の革新的な医薬品、医療・介護技術の研究開発、医療の情報化・国際化等を推進する。

<具体的な措置>

○ライフ・イノベーションの研究開発支援の加速【経済産業省、文部科学省】

高齢者・要介護者等のための生活支援ロボットや、がんの超早期診断・治療機器や重粒子線がん治療装置、革新的な再生医療を実現するための幹細胞評価機器等の研究開発・実証を加速する。また、医療機関等と企業の連携による、医療現場のニーズに対応した医療機器の開発を促進する。

○医療サービスの情報化促進・国際化推進【経済産業省、外務省】

一人一人が自らの医療・健康情報を電子的に管理・利用できる「どこでもMY病院構想」など、ITの活用による質の高い医療・健康関連サービスを提供できる環境を整備する。また、海外の患者が日本の高度な医療を円滑に受けられるよう、コーディネートを行う受入れ機能の整備や国内外の医療関連機関のネットワーク化等の環境整備、「医療滞在ビザ」(仮称)の創設などを推進する。

(3)アジア経済戦略の推進

アジアの成長を日本の成長に確実に結実させるため、グローバル企業の誘致等を通じたアジア拠点化、アジアにおける標準化、EPAの利用等を推進するとともに、インフラ/システム海外展開等を推進する。

<具体的な措置>

○アジア拠点化、EPAの円滑な実施等の推進

【内閣府、経済産業省、外務省】

グローバル企業のアジア統括拠点・研究開発拠点の誘致の支援を通じたアジア拠点化や、アジアにおける標準化を推進する。また外国人看護師、介護福祉士候補者への日本語予備教育の実施や、原産地証明書情報の電子的な提供を可能とし、EPAの円滑な実施や利用を促す。さらに、日本ブランドの確立・普及等のためのPR・プロモーションを実施する。

○インフラ/システム海外展開支援

【経済産業省、総務省、国土交通省、外務省】

国際協力銀行(JBIC)の投融資機能の強化、地上デジタル放送の海外展開に向けた技術の確立、案件の発掘・事業実施可能性調査、インフラ/システムの運営等を担う技術者の日本での研修等を通じて、事業者の海外展開を支援する。また、こうした調査、研修にはODAも活用する。

(4)科学・技術・情報通信立国戦略の推進

宇宙・光通信技術・次世代スーパーコンピュータ等の最先端の研究開発の推進、クラウドビジネスなど科学・技術の産業利用の促進、研究開発・実証拠点の国内立地促進等により、我が国の最大の強みである科学・技術・情報通信分野において、今後も世界をリードする。

<具体的な措置>

○技術開発等の推進【内閣官房、総務省、経済産業省、文部科学省】

先端光通信技術、次世代スーパーコンピュータ等の最先端の研究開発を推進するとともに、宇宙システムの海外展開に向けた開発支援や、クラウド活用環境の構築などを実施する。また、大学や研究センター等の施設・設備の整備等により、教育研究の基盤を強化するとともに、ナノテク分野における世界的な産学官の連携拠点(つくばナノテクアリーナ)を形成するなど、研究開発や人材育成における国際競争力を強化する。さらに、学びのイノベーションを推進するため、学校において利用される英語等のデジタル教材の開発を行う。

○実証研究・評価のための企業等の施設・設備の整備支援【経済産業省】

企業等の研究開発等の拠点を国内に残し新産業の創出を図るため、グリーン・ライフ分野等における先端技術の実証研究・評価のための大規模な設備投資の一部を補助する。

○産業革新機構の積極活用【経済産業省】

産業革新機構によるグリーン・ライフ分野等における海外大型買収案件の支援を拡充する。

(5)円高メリットの活用

以上の施策を推進するに当たって、国際協力銀行(JBIC)、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、産業革新機構等を活用した戦略的海外投融資を実施するとともに、外国為替資金特別会計の一層の効率的な活用を図る。

3「子育て、医療・介護・福祉等」

第三の柱 「子育て、医療・介護・福祉等」

国民が安心して暮らすことができ、また、子どもを産み育てながら働けるよう、社会保障を強化し、その潜在需要の実現を雇用の拡大につなげる。

3.子育て、医療・介護・福祉等の強化による安心の確保

国民が安心して暮らすことができ、また、子どもを産み育てながら働けるよう、社会保障を強化し、その潜在需要の実現を雇用の拡大につなげる。

(1)子育て

○保育サービス等の基盤の整備と児童虐待の防止

○妊婦健診に対する公費助成の継続等

(2)医療

○地域医療の再生と医療機関の機能強化

○疾病対策の推進

○C型肝炎救済特措法に基づく給付金の円滑な支給の確保

○現行高齢者医療制度の負担軽減措置の継続

(3)介護等高齢者の生活の安心の確保

○介護サービスの充実

○地域の日常的な支え合い活動の体制づくり

○重点分野雇用創造事業の拡充(再掲)

(4)福祉等

○生活困窮者対策

○障害福祉サービスの新体系移行の支援等

○自殺・うつ病、DV被害者支援対策の推進

○生活保護、医療保険による生活支援

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(1)子育て

子どもや子育てを社会全体で支え、子どもの良質な成育環境を保障するとともに、出産、子育て、就労についての国民の希望が実現できる環境を整備する。

<具体的な措置>

○保育サービス等の基盤の整備と児童虐待の防止

【文部科学省、厚生労働省】

安心こども基金を積み増すとともに事業実施期限を平成23年度末まで延長し、保育サービスや地域子育て支援の充実、児童虐待の防止等「子ども・子育てビジョン」を推進する。

○妊婦健診に対する公費助成の継続等【厚生労働省】

妊婦が必要な回数(14回程度)の健診が受けられるよう支援するための基金を積み増し、来年度も公費助成を継続できるようにする。また、成人T細胞白血病等の原因となるウイルス「HTLV1」対策として、妊婦健診に抗体検査を追加するなどの取組を行う。

(2)医療

地域における医療課題の解決や医療機関の機能強化を図り、引き続き地域医療の再生に取り組む。

<具体的な措置>

○地域医療の再生と医療機関の機能強化

(ア)都道府県を単位とした高度・専門医療、救急医療等の整備・拡充等【厚生労働省】

都道府県に設置されている地域医療再生基金を拡充し、高度・専門医療や救命救急センターなど都道府県(三次医療圏)の広域的な医療提供体制を整備・拡充する。また、院内感染対策に早急に取り組むため、薬剤耐性菌の解析機能強化等を行う。

(イ)医療機関の機能・設備強化【文部科学省、厚生労働省、防衛省】

大学病院、国立高度専門医療研究センター及び自衛隊病院等について、周産期医療体制の整備や医療機器の充実等による医療機能の強化を図る。

○疾病対策の推進

(ア)新型インフルエンザ対策の推進【厚生労働省】

新型インフルエンザが発生した場合に備え必要なプレパンデミックワクチンを確保するため、有効期限切れに対応しワクチンの備蓄を行う。

(イ) 子宮頸がん等のワクチン接種の促進【厚生労働省】

地方自治体における子宮頸がん予防ワクチン・ヒブ(へモフィルスインフルエンザ菌b型)ワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンの接種事業に対する支援策を講じる。

(ウ)未承認薬審査迅速化のためのリスク管理体制の構築【厚生労働省】

厳格な安全管理体制が求められている医薬品(サリドマイド)の安全管理状況の調査、リスク管理方策の実効性評価を行い、その知見を未承認薬の審査迅速化に活用する。

○C型肝炎救済特措法に基づく給付金の円滑な支給の確保【厚生労働省】

特定C型肝炎ウイルス感染者等に対する給付金の円滑な支給を確保する。

○現行高齢者医療制度の負担軽減措置の継続【厚生労働省】

70~74歳の窓口負担軽減措置、被用者保険の被扶養者であった方及び低所得者の保険料軽減措置を継続する。

(3)介護等高齢者の生活の安心の確保

高齢者が安心して住み慣れた地域で暮らし続けられる環境を整備する。

<具体的な措置>

○介護サービスの充実

(ア)地域密着型サービスの基盤整備と安全確保等【厚生労働省】

認知症高齢者グループホーム等の防災対策上必要な改修等を支援するとともに、特別養護老人ホーム等の個室・ユニット化を含めた改修等を支援する。この中で、小規模特別養護老人ホーム等の平成23年度までの整備目標(16万人分:広域型施設を含む)の確実な達成に向け、助成単価の引上げを行う。

(イ)24時間地域巡回・随時訪問サービス事業の実施【厚生労働省】

在宅においても24時間必要なときに必要なサービスを提供できるようモデル事業を実施する。(平成22年度中に全国30か所で実施)

(ウ)介護職員等による医療的ケアを行う体制の整備【厚生労働省】

在宅や特別養護老人ホーム等において、医師・看護職員との連携・協力の下にたんの吸引等の医療的ケアを行うことができる介護職員等の研修を行うための体制を約700か所整備する。

○地域の日常的な支え合い活動の体制づくり【厚生労働省】

NPO法人、福祉サービス事業者等の協働による、見守り活動チーム等の人材育成、地域資源を活用したネットワークの整備等に対する助成を行う。

○重点分野雇用創造事業の拡充(再掲)【厚生労働省】

(4)福祉等

誰もが地域で必要な支援を受け、自立した生活が営める環境を整備する。

<具体的な措置>

○生活困窮者対策

(ア)「『住まい対策』の拡充」の延長【厚生労働省】(再掲)

(イ)貧困・困窮者の「絆」再生事業の実施【厚生労働省】(再掲)

(ウ)生活福祉資金貸付事業の実施に必要な体制整備【厚生労働省】

低所得世帯を対象とした生活福祉資金貸付事業において、貸金業法の改正により消費者金融からの借入が制限された方等からの相談体制の整備等を行う。

○障害福祉サービスの新体系移行の支援等【厚生労働省】

障害者関連施設等が就労支援等の新体系サービスへ移行するための施設改修等を推進する。

○自殺・うつ病、DV被害者支援対策の推進

(ア)うつ病に対する医療等の支援体制の強化【厚生労働省】

精神科医療に携わる医師、看護師等に対する研修の実施や、かかりつけ医と精神科医の連携体制の強化等の取組を促進する。

(イ)DV被害者支援緊急対策の実施【内閣府】

DV被害者に対する集中的な電話相談事業等を実施する。

○生活保護、医療保険による生活支援【厚生労働省】

生活保護、医療保険について、平成22年度に必要となる追加財政措置を講じる。

4「地域活性化、社会資本整備、中小企業対策等」

第四の柱 「地域活性化、社会資本整備、中小企業対策等」

成長の牽引力となるインフラ整備を前倒して実施するとともに、地域を支える中小企業支援を含め地域活性化を図り、地域の視点に立った重点的な支援を行う。

4.地域活性化、社会資本整備、中小企業対策等

我が国の産業・社会を支える地域経済、中小企業を巡る環境は引き続き厳しい状況にある。新成長戦略の前倒し、地域の生活の安心への寄与等の観点から、インフラ整備を実施するとともに、地域の雇用を支える中小企業支援を含めた地域活性化を図り、地域から日本を元気にする緊急的な措置を講ずる。

(1)地域活性化

○耐震化等による安心・安全な居住・生活環境の整備

○地デジ放送、デジタル・コンテンツ利用の推進

○国民の「食」を守る農林水産業への緊急支援

○成長分野としての農林業の育成支援

○魅力ある観光地づくりの推進と国内旅行の活性化

○地域の目線に立った支援の拡充

○地方交付税の増額

(2)社会資本整備

○地域経済の元気復活に資するインフラ整備

○地方公共団体によるきめ細かなインフラ整備等の支援

(3)中小企業対策

(4)その他

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(1)地域活性化

地域経済の元気復活のため、住民の生活に密接に関わる住宅・市街地施設等の耐震化や施設の長寿命化を図るための維持管理の推進、農林水産業の生産基盤の強化など、新成長戦略の前倒しとなる取組をはじめ、地域の目線に立ったきめ細かな支援を行う。

<具体的な措置>

○耐震化等による安心・安全な居住・生活環境の整備

(ア)住宅耐震化の加速等【国土交通省、防衛省】

・地方自治体における住宅耐震化支援や、耐震化の合意形成が困難なマンションの耐震診断等への直接支援を図る。

・既存住宅ストックの耐震化、バリアフリー化等の改修費用を支援し、子育て世帯、高齢者、障害者等に対する安心・安全な賃貸住宅の供給を促進する。

・飛行場等の防衛施設の周辺地域における住宅の防音工事を助成し、住民の生活環境を改善する。

(イ)生活に密接に関わる学校等の施設の耐震化の推進等

【文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省】

国民生活に密接に関わる学校、上下水道等の耐震化等や、認知症高齢者グループホーム等の防災対策上必要な改修等の支援(再掲)を図るとともに、災害発生時の避難地等として機能する都市公園の整備等を行う。

(ウ)国民生活の安心につながる防災対策等の推進

【総務省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省、防衛省】

近年多発する集中豪雨などの自然災害に対する防災力を強化するため、河川・砂防、山地、下水道、漁港・漁村、海岸、航路標識の防災対策、防災体制強化等を緊急的に実施する。あわせて、災害復旧等事業費について所要の追加を行う。

(エ)市街地再開発及び地籍整備の促進【国土交通省】

防災上危険な密集市街地や空洞化が進行する中心市街地等において、市街地再開発事業、地籍整備の実施等により、市街地の再生・再構築を図る。

○地デジ放送、デジタル・コンテンツ利用の推進

(ア)地上デジタル放送移行支援の強化【総務省】

低所得世帯への地デジチューナーの無償配布の対象の拡大等を図る。

(イ)デジタル・コンテンツの利用促進【内閣府、経済産業省、国立国会図書館】

地域の雇用創出に資する国立国会図書館所蔵資料のデジタル・アーカイブ化及び書籍等のデジタル化の推進に係る事業の前倒し等を通じて、デジタルコンテンツの利用環境を整備・改善する。

○国民の「食」を守る農林水産業への緊急支援

(ア)農林水産業の生産基盤の強化【農林水産省】

円高や猛暑、赤潮等の影響を受けた農業、漁業者が安定的な生産・供給を行えるよう支援を行うとともに、国内農水産物の生産拡大等に向けた効率的かつ持続的な生産基盤を確立するための支援を講じる。

(イ)口蹄疫対策の推進【農林水産省】

宮崎県及び周辺県における口蹄疫対策に要する経費の手当等を行う。

(ウ)沖縄等における地域農業の支援【内閣府、農林水産省】

沖縄県及び鹿児島県の南西諸島におけるさとうきび・国内産糖製造業の効率的な生産・製造基盤を確立するための支援を行う。

○成長分野としての農林業の育成支援

(ア)農の成長戦略の推進【農林水産省】

バイオマス施設や小水力発電等の整備支援、食の活用等による地域活性化とあわせて、6次産業化に取り組む農林漁業者等をサポートする人材の育成等を図るとともに、地域における雇用の拡大に向けた農業者の取組を支援する。

(イ)森林・林業再生の推進等(花粉飛散の抑制にも配慮)【農林水産省、国土交通省】

花粉の飛散の抑制にも配慮しつつ、搬出間伐と、これと一体となった森林作業道開設への支援を前倒しするとともに、路網整備の加速や公共施設の木造化支援等により「森林・林業再生プラン」を推進する。また、地域材等を活用した木造長期優良住宅の普及促進のための支援や地籍整備を加速する。

○魅力ある観光地づくりの推進と国内旅行の活性化

(ア)国内観光活性化のための滞在型観光の加速化等【内閣府、国土交通省】

国内観光活性化のため観光圏の取組も含めた23日以上の滞在型観光に係る施策や休暇取得の分散化に係る普及・啓発等を緊急的に実施するとともに、観光地における電気自動車等の導入を支援する。

(イ)外国人観光客のための言語バリアフリー化の加速等

【内閣府、警察庁、国土交通省】

沖縄を含む観光地における交通機関施設の外国語対応を推進するなど、治安面を含め安心・安全で魅力的な観光地づくり等を推進する。

○地域の目線に立った支援の拡充

(ア)地域活性化交付金(仮称)の創設【内閣府】

・新たな交付金を創設し、観光地における電線地中化等、地域の活性化ニーズに応じて、きめ細かな事業を実施できるよう支援を行う(きめ細かな交付金(仮称))。

・新たな交付金を創設し、これまで住民生活にとって大事な分野でありながら、光が十分に当てられてこなかった分野(地方消費者行政、DV対策・自殺予防等の弱者対策・自立支援、知の地域づくり)に対する地方の取組を支援する(住民生活に光をそそぐ交付金(仮称))。

(イ)合併市町村の活性化のための支援の加速【総務省】

合併市町村が新しいまちづくりや住民サービスの確保等のために、優先度が高く、緊急に実施する事業に対して行う支援を加速する。

○地方交付税の増額

平成21年度一般会計決算において地方交付税の財源として留保された未繰入額、及び平成22年度の国税収入の増額補正に伴う地方交付税法定率分増加額(計1.3兆円)について、交付税及び譲与税配付金特別会計に繰入れを行うこととし、そのうちの0.3兆円については、平成22年度に地方自治体に交付する。

(2)社会資本整備

地域経済・大都市の再生に向けて、その基盤となる社会資本を整備するため、三大都市圏の環状道路、首都圏空港、国際コンテナ戦略港湾等、投資効果の高い大都市圏のインフラの重点的整備や、国内観光の促進にも資する国土ミッシングリンク解消等の地域の交通アクセス改善など、新成長戦略の前倒しとなる重要施策に取り組むほか、地域のニーズに応じたきめ細かな事業を支援する。

また、公共事業の契約の前倒しを事業費ベース025兆円規模(限度額ベース02兆円程度)で計上する。

<具体的な措置>

○地域経済の元気復活に資するインフラ整備

(ア)国土ミッシングリンクの解消など地域連携の推進等【国土交通省】

地域経済の活性化を図るため、国内観光の促進にも資する国土ミッシングリンク(主要都市間等を連絡する高規格幹線道路等のうち未整備の部分)の解消や、地域連携に資する幹線道路ネットワークの整備、渋滞対策など交通円滑化、橋梁等の道路構造物の保全対策、道路の法面対策や無電柱化等を推進する。

(イ)都市鉄道整備事業等の推進【国土交通省】

観光等を通じた地域経済の活性化等を図るため、都市鉄道の新線建設等の工事、建設中の整備新幹線の工事等を推進する。

(ウ)国際コンテナ戦略港湾のハブ機能の強化等【国土交通省】

国際コンテナ戦略港湾である阪神港・京浜港のハブ機能を強化するためのインフラ整備を推進するとともに、地域経済の活性化に資する港湾施設の整備を推進する。

(エ)首都圏空港の強化等【国土交通省】

首都圏の交通利便性を向上させるための羽田空港の容量拡大に向けた事業等を実施する。

(オ)社会資本整備総合交付金の追加【国土交通省】

地域の創意工夫を活かした社会資本の総合的な整備を推進する社会資本整備総合交付金を追加する。

(カ)農山漁村地域整備交付金等の追加【農林水産省】

地域の自主性と創意工夫により、農山漁村の活性化を総合的に図るためのインフラ整備に要する農山漁村地域整備交付金等を追加する。

○地方公共団体によるきめ細かなインフラ整備等の支援【内閣府】

地域活性化交付金(仮称)の創設(再掲)

(3)中小企業対策

我が国経済を支える中小企業の活性化のため、金融、技術開発、海外展開など総合的に支援策を講じる。

<具体的な措置>

(ア)資金繰り支援【内閣府、財務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省】

日本政策金融公庫等の財務基盤を強化することを通じ、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会の融資・保証を促進し、年末・年度末の中小企業の資金繰りに万全を期す。また、現在の緊急措置が期限切れを迎える来年度においても、借換保証の拡充、セーフティネット保証や小口零細保証等の対策の重点化、さらには、日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫等による借換えの促進を含めた直接貸付の充実等により、中小企業の資金繰りに支障が生じないよう取り組む。

この他、建設業に対する下請債権保全や元請資金繰りに係る支援の強化、引火性溶剤の安全対策設備の導入が必要なクリーニング業者に対する低利融資制度の拡充を行う。

(イ)技術開発及び海外展開支援【経済産業省】

中小企業をはじめとする産学官連携による技術開発の支援を行う。また、海外展示会への出展支援の拡充、海外特許出願支援の強化等を実施し、中小企業海外展開支援会議の下で、地域での中小企業の海外展開を促進する。

(ウ)新規の事業活動への支援【内閣府、財務省、経済産業省、国土交通省】

農商工連携をはじめとした異分野の中小企業者の連携や地域資源を活用した新規事業を支援するとともに、中小企業者の起業・転業に必要な資金に対する積極的な融資・保証を促進する。また、全国の中小企業応援センターにおいて、転業チャレンジに係る相談会の開催、専門家派遣や転業に対する相談窓口等における支援を実施する。

さらに、地域の建設業のエコ・耐震改修等成長が見込まれる分野での市場開拓の取組、中小トラック事業者等の環境対応等を支援する。

(エ)地域商業の活性化【経済産業省】

地域の商店街等が行う、デジタルコンテンツの活用等による集客力向上、空き店舗対策、買い物弱者への対応等を支援する。

(オ)人材育成支援【経済産業省】

中小企業者におけるものづくり分野等の実践的な研修事業を実施する。

(4)その他

(ア)海上保安体制の充実等【農林水産省、国土交通省】

最近の我が国周辺海域及び遠方海域を巡る緊迫化した情勢に対応するため、巡視船の整備等海上保安体制を強化するほか、我が国漁業者の安全な操業を支援する施策を緊急に実施する。

(イ)情報収集衛星の体制整備【内閣官房】

安全保障及び危機管理に必要な情報収集の確実性を高めるため、情報収集衛星体制の整備を強化する。

(ウ)遺骨帰還事業の推進【厚生労働省】

遺族・若者等ボランティアの協力を得て政府一体となって硫黄島からの遺骨帰還を推進するため、必要な整備を行う。

5「規制・制度改革」

第五の柱 「規制・制度改革」

財源を使わない景気対策として、及び新成長戦略を推進するための政策ツールとして規制・制度改革を強力に推進する。

5.規制・制度改革

財源を使わない景気対策として、及び新成長戦略を推進する政策ツールとして、規制・制度改革を強力に推進する。このため、既定事項を着実に実施していくとともに、グリーン・イノベーション、ライフ・イノベーション、地域活性化、アジア経済戦略、金融等の7つの戦略分野を中心に新たな取組を行う。その際、規制・制度改革の円滑な推進の上で必要となる環境整備に十分配慮する。

<具体的な措置>

○「日本を元気にする規制改革100」等の充実・強化

・再生可能エネルギーの利用拡大に向け、全量買取制度の円滑な導入を目指し年末に向けて検討を進めるとともに、大規模太陽光発電設備や省エネ・新エネ設備に係る規制を見直すこと、国際医療交流を促進するためビザの創設や在留資格の取扱いの改善を行うこと、幼保一体化を含む法案を平成23年通常国会に提出する準備を進めることを含め、「規制・制度改革に係る対処方針」(平成22年6月18日閣議決定)及び「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」(平成22年9月10日閣議決定)の「日本を元気にする規制改革100」等の既定事項を着実に実施する。

・また、既定事項の一部について実施の前倒しを行う(別表1)。

・さらに、「日本を元気にする規制改革100」の「国を開く経済戦略」の分野を中心に、国際旅客チャーター便の個札販売(航空券のバラ売り)比率の一層の緩和、外国企業等による英文開示の範囲拡大等の制度整備の実施、「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」の策定その他の措置を講じる(別表2)。

・これらについて、潜在的需要の顕在化及び供給力強化を図る観点等から実効性ある措置が講じられるよう、10月から活動を再開する行政刷新会議の規制・制度改革に関する分科会においてフォローアップを行う。

○規制・制度改革に関する分科会での更なる改革推進

・規制・制度改革に関する分科会において、規制・制度改革に関し実施中の「国民の声」集中受付で寄せられた提案や、子育て、環境・エネルギー、地域活性化、アジア経済戦略等に関する与野党の提言等を踏まえて、新たな検討を行う。

・また、時代や環境の変化への対応の観点から、制定後20年を経過した規制・制度等に関し、所管省庁において行われる見直しの検討をフォローアップするとともに、その他の見直すべき規制・制度について検討を行う。

・これらについて、既定事項のフォローアップも含めて、22年度末を目途に取りまとめを行う。

○総合特区制度を念頭に置いた規制・制度改革の検討

・「新成長戦略」に基づき、規制の特例措置及び税制・財政・金融上の支援措置等を総合的に盛り込むものとして創設を予定している「総合特区制度」に係る自治体や民間からの提案を踏まえ、優先的に検討に着手するべき規制・制度改革について、所要の検討を実施する。